患者の知らないインプラント秘話②

専門的な話になりますが、インプラントの咬合(嚙み合わせ)についてお話をしたいと思います。インプラント治療の最終段階には歯(上部構造)がセットされますが、インプラントで作成される歯の嚙み合わせは、天然歯の嚙み合わせとは異なります。つまり天然歯には歯根膜というクッション機能をもった組織が存在しますので上下の歯を強く嚙み合わせると僅かな沈み込みが起こります。その幅は25ミクロン~50ミクロンといわれており極僅かな沈み込みなので私たちが生活する上でそれを感じることは殆どありません。一方、インプラントは骨と直接結合しているため、歯根膜というクッション機能はないので、噛んでも沈み込みは起こりません。そのためインプラントの場合、通常の嚙み合わせで歯を作成するとインプラント部分は咬合が高くなるので、骨は吸収されて破壊されてしまうためインプラント部分はその部分だけ(25ミクロン~50ミクロンだけ)嚙み合わせを低く設定して作成しています。つまり、軽く噛んだ時には上下は噛み合わず、強く噛んだ時にだけ上下嚙み合うように作成します。このようにインプラントと天然歯では構造、動きが異なるため、当初、インプラントの嚙み合わせに不自然さ、噛みにくさを感じる場合があります。しかし、これは慣れの問題なので、通常慣れてきます。

文書監修 岡田孝志(インプラント認定医。岡崎市インプラントインスティテュート主管)