患者の知らないインプラント秘話⑦<臼歯喪失は前歯崩壊の始まり>

咬合(嚙み合わせ)理論の一派として、ナソロジーという考えが存在します。ナソロジーの詳しい説明はここでは割愛しますが、その考えの一端に、”臼歯喪失は前歯崩壊の始まり”という考えがあります。ナソロジストでなくても歯科医師であればこれは常識ですが、わかりやすく説明しますと、奥歯(臼歯)が、進行した虫歯、歯周病、外傷などで喪失すると、奥歯ではものを噛み砕くことができなくなるため、無意識的に前歯で咀嚼するようになるので、前歯が加重負担となるため、上顎の前歯が出てきて、いわゆる出っ歯になったり、顎関節の位置がずれて顎関節症になり、最後には前歯がグラグラして、あるいは歯根が破折したりして崩壊し結局抜歯となります。奥歯が欠損したまま放置している方は少なくありません。必ず、ブリッジ、入れば、もしくはインプラント等で奥歯を作成するのが望ましいと思います。

文書監修 岡田孝志(インプラント認定医)

患者の知らないインプラント秘話⑥<最近の経験事例から>

現在、国内では約30種類のインプラントシステムが存在し、それぞれ器具や術式、考え方、世界感などが異なっています。残念ながら、統一したものは存在していないので、患者さんの立場では混乱される原因となっています。また、インプラントの材質の分類からは、チタンインプラントとハイドロキシアパタイト(HA)インプラントとに大別されます。この二つは世界感が全く違い、考えも全く異なり、正反対の考えも存在しています。私は主にHAインプラントを使用していますが、HAインプラントはチタンインプラントとはインプラントに対する基本概念そのものが大きく異なっています。(私がHAインプラントを選択した理由も、その基本概念に魅力を感じたからですが、)ですのでHAインプラント使用の先生が常識だと考えられていることが、チタンインプラント使用の先生にとっては非常識となることも多々あります。また逆の事実も経験しています。この両者の相違点を説明するだけでも軽く1時間を要します。さらに困ったことには、患者さんだけではなく、インプラント知識の浅い不勉強な先生もこの事実を知らないという現実です。インプラントを扱う先生なら、両者の世界感や相違点をよく勉強された上で発言してほしいと思います。本当に困ったものです。

文書監修 岡田孝志(インプラント認定医)

院長日々雑感③ <患者さんはお客様?>

昨今の風潮として、病院や医院などの医療機関に対して、受付や医者の対応が良くないとか接遇が悪いというような投稿がよくみられますが、医療機関はそもそも、(利益目的のお店や、おもてなしやサービスを提供することにより利益を得ているリゾートホテルや旅館業などとは異なり)、医療行為を提供することにより診療報酬を受けている機関です。ほとんどの、まっとうな医療機関は、患者さんは患者さんであってお客様という認識はないと思います。一部のお金儲け拝金主義の医院は別ですが….少なくとも当院にはそういう認識は存在していません。どうかこの点を勘違いしないで、ご自身のかかる医院を選択してほしいと思っています。

文書監修 岡田孝志(インプラント認定医)